online pharmacy without script

OffTime8月号 特集

宝石修飾工房波多ゑ

世界にたったひとつ
生涯、添い遂げたい
ジュエリーと出会える場所。

of8_ikotsu03of8_IMG_8732of8_IMG_8610of8_122ハ-ンヒ-

しげな緑が目にありがたい夏の盛り。薬院の住宅街にあるアンティークな佇まいのジュエリー専門店を訪れた。オーダーメイドから修理までを受け付けてくれるこちらは、ゴージャスな貴金属のイメージとはひと味ちがう、さりげない佇まいが以前から気になっていた。
 先日もそんなわけでショーウィンドウ越しにジュエリーを眺めていたら、重厚な白い扉が開き、丸顔の男性が顔を出した。「どうぞ、中に入ってご覧下さい」とにっこり笑顔で声をかけてくださったのは、店主の波多江長生さん。どうぞ、お手にとってご覧くださいねと促され、初来店の緊張も和らいでゆく。上品な色とりどりのパールやクラシカルなジュエリーは、その一つひとつに何か特別な「物語」が秘められているようで、いつまでも見飽きることがない。
 ニコニコと温和な波多江さんにその半生を尋ねてみた。ご実家は、なんと蕎麦屋。二十代より父親の右腕として店に立っていたが、結婚を決めた31歳の時、自分でも信じられない方向転換を図った。奥さまのご実家の都合もあり、蕎麦屋の後継ぎが難しいと判断するや、サラリーマンになると宣言したのだ。驚く周囲をよそに、波多江さんは奥さまが喜んでくれたからホッとしたという。「だから僕の人生は、奥さんに導かれたようなものですよ。まさか自分が蕎麦屋をやめるなんて思いもかけなかったですから。まあ、昔から何でも自分の手で作るのが好きやったんです。焼きものでも自宅に電気釜を買って作ったり、篆刻をしたりするのも好きでしたし。細かい仕事が好きだったから向いていたのでしょう」。

of8_IMG_8651of8_IMG_8657of8_IMG_8778of8_IMG_8761

になって、振り返ればベストな選択だっだのだ。「当時、独立を考えていた弟が店(福岡市舞鶴『蕎麦切 はたゑ』)を継ぐことができたし、奥さんも喜んでくれたし、僕も今の仕事に就くことができたわけですから」と愉快そうに語る波多江さんを見ていると、人生って目の前のことを必死でやっていけば何とかなるのだなと勇気がわく。
 とはいえ生活費を稼がなくては。手に職をと考えていた矢先、友人の父親がやっていたジュエリーメーカーの職人仕事と出会う。これだ! 直感的にピンときた波多江さんは、すぐさま3ヶ月間、無給で工場に通い、職人の技を目で見て頭に叩き込んだ。「職人さんは、人からじーっと見られるのはものすごく嫌なんですよ。だからビールとか差し入れを持って行っては見せてもらっていました」。
 筋が良かったのだろう。すぐに貴金属のサイズ直しなどの修理を任された。「当時は、1500度のバーナーで指輪のリングの長さを調節する仕事を徹夜でやっていました。親指と人指し指でリングの石の部分をつかむのですが、火傷につぐ火傷で指が腫れ上がりました。でも食べていかなきゃいけないから必死。おかげで仕事は順調でしたね」。

Jewelry_talk

頃のがんばりが認められ、程なく工場の鋳造部門を一任されることに。以来20年間、企画製造部部長として10人のスタッフをまとめて働いていたが、50歳を前にして会社が業績不振になる。歴史あるメーカーでも厳しいのに、ましてや独立なんて。ふたたび飲食業界に戻ろうとした波多江さんをとめてくれたのは、またしても奥さまだった。「それならばと思いきって独立しました。一人でも食べていくのがやっとだった頃、以前の会社で一緒だった同僚二人が私の元で働きたいとやってきましてね、たいがい悩みましたけど彼らを受け入れたところ、思いがけず仕事の幅もグンと広がりましてね。一人では到底できない量を受注することができたんです。今思えば独立は無謀でしたが、僕の場合は恵まれていました」。
 接客の折、そんな昔話に花が咲くこともあるという。「結婚を決めた若いお二人には、《自分の信念や気持ちをあまり押し通すよりも、周りの人が喜ぶことをした方が物事がうまく運ぶことも多い気がしますよ》と話すんです。自分の意思だけだったら絶対にしないことでも、周りの人が喜ぶ方向に流されていたら、結果的に自分にとっても良い道ができる。それもひとつの生き方ですよね」。

order-page

めて波多江さんとお話した時、自分へのごほうびに、あこや真珠のネックレスを手に入れた。次に母から譲りうけた大粒の南洋真珠のネックレスを指輪にリメイクしてもらう相談をさせていただいた。取材中でもどんどんお客さまがやってきて、思い思いの会話が弾む。ここ5年ほどは、遺骨をジュエリーに入れて肌身離さず身につけられる遺骨ジュエリーが全国的に評判となり、依頼がたえないとか。波多江さんが「できるだけ手頃な値段でお作りして差し上げたいので、今、定番の型を制作しているところなんですよ」と制作中のピースを見せてくださった。「遺骨ジェリーは、私もやっていて手応えがあるといいますか、やりがいや喜びを感じますよ。だからこそ敷居や値段を下げて、もっと多くの人たちに喜んでいただきたいです」。
 店を出ると、満ち足りたゆたかな気持ちに包まれた。年齢とともに本物を身につけたいという想いが湧いてくる、そんな自分と近い感性のジュエリー専門店があるなんて、これほど素敵なことはない。古来よりジュエリーは「お守り」であり、自分自身を投影する分身みたいなものだった。世界にひとつの相棒に出会えるかもしれませんね。

宝石修飾工房波多ゑ

Add/福岡市中央区薬院2-4-24
Tel・Fax/ 092-733-3636
Open/ 12:00~19:00(予約制ではありません)
Closed/月曜日、火曜日、祝日
HP/http://www.cho-sei.com/

※現金、カード(VISA、MASTER)使用可。
 遠方のお客様の場合、代金をお振込み後の発送。
※お取り扱い品目/婚約指輪、結婚指輪、リフォームジュエリー、オーダーメイドジュエリー、
メモリアルジュエリー、ベビーリング、指輪、ペンダント、ネックレス、ピアス、ブローチ、
パールネックレス、ダイヤ、真珠などルース(裸石)、帯留め、

of8_外観of8_外観2of8_IMG_8743

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

【必須】

ページ上部へ戻る