
編集長/黒木 正和
古書店を経営しながら貸本漫画家として活躍していた辰巳ヨシヒロは「劇画」を提唱、命名し、1959年、さいとうたかをら関西のマンガ家たちにより「劇画工房」が結成され、当時20代の野望あふれる青年たちが、手塚治虫に代表される中央の漫画に対抗して、ダークな情念の滾る作品を描いていた。そういったアングラカルチャーとしての貸本劇画は、60年代になると衰退していくことになるが「少年マガジン」が劇画系を取り入れ、貸本劇画出身・川崎のぼるの「巨人の星」の大ヒットをキッカケに、白土三平、水木しげる、さいとうたかを、楳図かずおなどの貸本劇画系の作家が次々と中央進出し、活躍を始めた。2008年の『劇画漂流』が海外で注目され、2011年にはシンガポールの映像作家エリック・クーによるアニメ映画「TATSUMI」が作られ、映画、フランス語、スペイン語など各国語で翻訳されている。60年安保のシーンで終わっている「劇画漂流」の続編は未発表のまま、辰巳ヨシヒロは2015年に79歳で逝去。あの独特の劇画タッチとは違う「ガロ」で発表された作品が懐かしい。
●Off Time発行元
ドリームシェア株式会社
株式会社コマーシャルアーツ








この記事へのコメントはありません。