OffTime9月号　ちょっとエッセイ

編集長／黒木正和

博多中洲の『シオンの娘』に、平成年の秋の夜フト立ち寄り、そのステージショーとカウンターを挟んだ接客光景が面白くて、一時香椎そして昨年JR古賀駅近くに新築オープンし、時々通い、その縁でこの7月日KBCシネマで、経営母体である『イエスの方舟』の責任者千石まさ子さんと主幹の千石恵さん他スタッフと席を並べて、佐井大紀監督の『方舟にのってイエスの方舟年目の真実』を観た。いつも微笑を絶やさず粛々と生活する女性たちはスッキリ
と心地良い。

その空気感に影響されたのだろうか、この盆休みは映画三昧。キノシネマ天神で『ホールドオーバーズ置いてけぼりのホリディ』を観て、ボストン郊外の名門バートン校の古代史教師役の名優ポール・ジアマッティのユーモアに共感し、WOWOWでは『ぼくとアールと彼女のさよなら』の白血病になった女子高生のレイチェルのために幼なじみのアールと自主映画を創る同級生のグレッグとの友情にウルッとし、伝記映画『マイ・レフトフット』の生まれつき脳性マヒで、かろうじて動く左足で描く絵画が評判になったクリスティ・プラウンの誇るべき人生に勇気をもらい、小林聡美、杉本哲太、勝村政信など芸達者達の函館を舞台にした人間模様の『キリコの風景』にクスッと笑い、吉永小百合、大泉洋、永野芽郁の『こんにちは母さん』の山田洋次監督の下町ドラマにホッとし、特に1999年公開の『パッチ・アダムストゥルー・ストーリー』は実在の精神科医役のロビン・ウィリアムズは秀逸。自殺未遂の果てに精神病院に任意入院し、ジョークで患者達を笑わせ、心を癒す能力に目覚め、バージニア大学医学部に入学し、幾多の困難試練を経て大学を卒業し、独自の治療方法を伝えることになる。実話に基づいた人間力が鍛えられる秀作である。
同時に第回夏季オリンピックもあり強烈に睡眠不足の日々。日本のメダルは金個銀個銅個。フェンシング、レスリング、体操男子が見事だった。