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OffTime9月号 ちょっとエッセイ

編集長/黒木 正和

国際行方不明児童の日は5月25日、シンボルは“私を忘れないで”の意でワスレナグサである。1979年米国ニューヨークで起きた6歳男児誘拐事件の日で、1983年ロナルド・レーガン米国大統領により制定された。その後1998年GMCN(グローバル・ミッシング・チルドレンズ・ネットワーク)が設立されて、4大陸・31ヶ国が加盟している。アジアでは韓国、台湾は加盟しているが日本は何故が加盟していない。
 現在、世界で行方不明児童は年間100万人以上で、米国約46万人・英国約11万人・ドイツ約10万人・インド9万6千人など。その理由は家出が50%、別居中のカップル間の実子誘拐があるが、それ以外は悲惨である。現代の奴隷として人身売買されている世界の4,600万人の内、インド推定1840万人、中国推定340万人、パキスタン推定210万人と驚くべき数である。
 さらに、100万人以上の子供が最悪形態の児童労働である“商業的性的搾取”被害、つまり売春宿に売られるのである。そのトラフィッカー(斡旋者)の59%は被害者の家族、親族、近隣住民が占める。何をか言わんやである。
 日本ではどうか。警察庁統計による行方意不明者は1日当たり200件以上、年間8万人を超す。その内1,000人強が9歳以下の児童である。1990年の新潟県三条市で中年男性による9歳女児の9年以上の監禁事件、2014年には埼玉県朝霞市で13歳少女の大学生による2年間監禁事件がある。
 さすがにトラフィッカーによる売春宿に売られる事例は極少だが、それに匹敵するのが児童ポルノである。その約8割が、強姦、強制わいせつの手段によって製造されている。平成22年に「児童ポルノ排除総合対策」が策定されたが、被害者の約半数が低年齢児童と認められるなど、極めて憂慮すべき事態になっている。
 今年2月9日児童相談所からの通報で明らかになった母親縄田佳純容疑者による8歳の娘に食事を与えず、共済金や保険金を詐取した大阪の事件。低血糖症で入院を繰り返した娘に“喰うな寝とけ”とピンクの下剤と入院直前に駄菓子3個だけ。
 親が最初からいないのと、親から無視されるのと、親から食を断たれるのと、終には親から殺されるのと。子どもに受難の令和である。

●Off Time発行元

ドリームシェア株式会社
株式会社コマーシャルアーツ

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