編集長/黒木 正和
NHKアーカイブスで、一九七九年放送の「黒澤明の世界」を観た。主役(武田信玄役)が勝新太郎から仲代達矢に交替した「影武者」制作現場のドキュメンタリーである。それを観る私の頭の中を駆け巡ったのは、目眩く東映、大映、松竹、東宝、新東宝、日活の総天然色の正月映画の数々である。特に、東映の大作時代劇映画「忠臣蔵」はオールスターキャスト(市川右太衛門、片岡千恵蔵、大川橋蔵、中村錦之助など)で、お年玉の50円を握りしめて、2歳年下の弟と観に行った。大抵は2番館、3番館で、それでもその当時は皆が平等に貧しく、映画が唯一、最高の娯楽だった時代。小学校の校庭での夜の野外映画、朧気だが、座布団持参で天井桟敷のような場所からモノクロの映画を観た記憶もある。ちなみに、初めて観た洋画は中学生の頃の行事で行った封切館(大洋映画劇場)で上映されていた「奇跡の人」である。それから圧倒的に洋画に嵌まり、現在ではツタヤ中毒者になっている。
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