民陶のルーツを今に。
約350年前の江戸時代、庶民が使う生活雑器として生まれたのが「小石原焼」です。小石原の山々から掘り出した土(焼くと黒っぽくなる)を原材料に、まるで魔法のような早さで動く陶工の手から生み出される器は、ほっこりとしたあたたかさと、使うほどに手になじむ「用の美」を兼ね備えています。現在では44戸の窯元がめまぐるしく移り変わる時代にめげず、伝統を守り継ぐための挑戦を続けています。
一昨年、取材をさせていただいたカネハ窯3代目の熊谷裕介さんは、「すいとー小石原」という農と陶にまつわる団体を同世代の窯元仲間と運営。窯のすぐ前に広がる田んぼで米作りをしながら、作陶を行なうという昔ながらの「民陶」の仕事を残そうと奮闘しています。「昔はあたりまえだった半陶半農の暮らしも便利なものが増えた今は大変な重労働ですし、若い人は生産性だけを求めるので米作りをやろうという人が少ない。でも小石原のルーツをさかのぼると稲作と焼きものを切り離すことはできません。米を育てる時に出る稲藁を焼いて焼きものの釉薬にするなど、すべてのサイクルが循環しているんですよ。そのふたつを行き来する、それが民陶の地、小石原の役割だし、現代に生きる僕ら後継者の仕事だと思います」。真摯なものが宿る熊谷さんの眼差しです。
民芸ブーム到来ともいえる昨今の生活ですが、畳の生活からテーブルと椅子という洋風化は進む一方。ちゃぶ台を大家族で囲むということも、核家族化がすすむマンション生活ではかないません。でも時代の変化を嘆いていても始まりません。最近では、デザイナーと伝統工芸の作り手が互いの知恵を出し合い、現代の生活スタイルにあうものづくりを提唱しています。あわただしい日々に土の匂いを取り入れる。それだけでも随分と心安らぐことでしょう。
一昨年、取材をさせていただいたカネハ窯3代目の熊谷裕介さんは、「すいとー小石原」という農と陶にまつわる団体を同世代の窯元仲間と運営。窯のすぐ前に広がる田んぼで米作りをしながら、作陶を行なうという昔ながらの「民陶」の仕事を残そうと奮闘しています。「昔はあたりまえだった半陶半農の暮らしも便利なものが増えた今は大変な重労働ですし、若い人は生産性だけを求めるので米作りをやろうという人が少ない。でも小石原のルーツをさかのぼると稲作と焼きものを切り離すことはできません。米を育てる時に出る稲藁を焼いて焼きものの釉薬にするなど、すべてのサイクルが循環しているんですよ。そのふたつを行き来する、それが民陶の地、小石原の役割だし、現代に生きる僕ら後継者の仕事だと思います」。真摯なものが宿る熊谷さんの眼差しです。
民芸ブーム到来ともいえる昨今の生活ですが、畳の生活からテーブルと椅子という洋風化は進む一方。ちゃぶ台を大家族で囲むということも、核家族化がすすむマンション生活ではかないません。でも時代の変化を嘆いていても始まりません。最近では、デザイナーと伝統工芸の作り手が互いの知恵を出し合い、現代の生活スタイルにあうものづくりを提唱しています。あわただしい日々に土の匂いを取り入れる。それだけでも随分と心安らぐことでしょう。
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