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好きなこと、もっと。「長崎次郎書店」〈熊本〉

 

路面電車が見える書店の喫茶室へ。「長崎次郎書店」〈熊本〉

 いい街にとって必要なものって何だろう? それは、いい書店といい喫茶店だと思います。先日、訪れた熊本の「長崎次郎書店」は、その両方をそなえた一軒。創業は明治7年。『国登録有形文化財』に指定された現在の建物は、明治から大正にかけて活躍した名建築家である保岡勝也氏が設計したもので、すぐそばの新町電停からやってくる路面電車が店を横切る風景は、多くの熊本市民に愛されています。また熊本にゆかりのある文豪、森鷗外が「書肆の主人長崎次郎を訪ふ」と『小倉日記』に記したように、「長崎次郎書店」の存在は日本文学の歴史にも寄与していたことがわかります。
 時代の波にさらされ、長いこと休業していたこの書店が復活したのは、かつての支店だった上通りの「長崎書店」との真剣な話し合いあってのこと。「熊本の街に根ざした歴史ある書店をもう一度、復活させたい」との強い気持ちでさまざまな課題を乗りこえ、創業140周年を迎える平成26年にリニューアル。熊本っ子の喜びは、どんなに大きかったことでしょう。平成28年の熊本地震でも、補強工事をしていたために大きな被害がなかったことは幸いでした。
 2階の喫茶室から外を見下ろすと、朝、昼、夕暮れとちがう空気をまとう街なかを路面電車がゴットンゴットン走っていく姿が見られます。本を傍らにコーヒーを味わうひととき。じんと心にしみてくる街の風景がそこにあるのです。

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