| 私 の 休 日 |Top Interview
現場の「SOS」に応えて、
必要な人のもとへ駆ける日々。
熊本地震から4ヶ月。未だ1900名を超える方々が避難所での生活を余儀なくされる中、「医療」を軸に様々な支援を続けられる吉田先生。
被災地の現状や復興への思いについて、お話を伺いました。
電話一本で現地へ
本震が発生したとき、すぐに熊本にいる昔の同僚や知人に電話をしました。病院機能の被害が深刻で「避難所は?」と聞くと「人があふれて、ドクターが足りない。」それを聞いて、訪問診療の機材を積んだ車に、院内の医薬品と点滴を積めるだけ積み、近隣のコンビニでお弁当を買い占め、翌朝に現地へ入りました。自衛隊やDMAT、JMATの方々の動きも早かったですね。
本震直後から続ける様々な被災地支援。定期診療や物資の輸送に加え、「スイーツ炊き出し」「ミニコンサート」など〝心のサポート″にも取り組んでいる。
広がる人の輪とチカラ
東日本大震災の教訓が生かされたのだと思います。私も、最初は周囲を巻き込みたくなくて一人で支援を始めたのですが、被災地の状況や足りない物資をブログやツイッターで発信するうちに、メディカルケアを担当させていただいている浜崎あゆみさん、GLAYのTERUさんなどのアーティストの呼びかけで、全国から支援金や何十トンという物資がクリニックに届くようになりました。そこで、「TAプロジェクト九州魂KUMAMOTO AID」という組織を立ち上げ、今も月4日、炊き出しや救援物資の輸送、医療支援、復興のお手伝いなどを続けています。
今、医療にできること
医療面でいえば、最初は怪我の治療、次に感染症の対策が急務でしたが、最近は心のケアが必要だと感じています。子どもや大人はもちろん、とくにご高齢の方はつらくても口に出されない方が多く、また同じ被災者同士では言えないのです。お時間のある方には、1時間でも2時間でも、各地域のボランティアセンターへ行って、現場で被災者の方のお話を聞き、お手伝いしていただきたいですね。そして、今、必要なものなどを発信してくださるといいなと思います。
「復興」にはまだ遠く
GWに「ボランティアが集まり過ぎて、仕事がない。」と報道されて、その直後から被災地に来る方が激減してしまいました。アクセスのいい熊本市内はまだしも、益城町や西原村、南阿蘇ではご高齢の方々が片付けをされている状況です。震災ゴミも山積みです。物資も不足しています。先日も、10トンほど持って行った物資が2時間でなくなりました。スーパーやホームセンターが再開しても、買い物がままならない方も多くいます。復興はまだこれからなのです。
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「避難所で暮らす人が0になるまでは、支援を続けます」と語る吉田先生。「全国から物資や支援金を送ってくださった方々が、私たちの活動状況が分かるように、SNSやブログで報告させてもらっています。本当は、お一人ずつお手紙を出したいのですが、膨大な数になることと、匿名で送られてくる方も多いので、この様な形にさせていただいてます。ちなみに私も医薬品や点滴を含め全て持ち出しで診療を行っています。一日も早い復興を願って、前進あるのみです」。爽やかな笑顔に、被災地の方々の心もどれだけ晴れて、照らされているかと感じた取材陣でした。
必要な物資と必要とする人を結ぶ『マッチングサイト』。「現場に行けない人も使えるように、友人のIT会社社長が一晩でつくってくれました」。
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