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OffTime11月号 特集

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熊本・天草酒造

手から、手へ。
天草の
風土がつなぐ
焼酎づくり。

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  ひょんなことから焼酎に興味がわき、焼酎バー「スンクジラ」(福岡市中央区平尾)に通ううち、店主の柳園さんより「9月に天草酒造の蒸留祭があるんですけど行きませんか?」とのお誘いをいただいた。天草酒造の看板芋焼酎『池の露』シリーズは、いろんな飲食店や酒屋でも見かける機会が多く、以前から気になっていたブランド。ぜひご一緒させてくださいとお願いした。

 さて蒸留祭というからには日本酒の蔵開きを連想していたら、そんなものではなく蔵元の平下家の客間で接待をうけ、寝泊まりまでさせていただけるという希少でコアな“酒蔵ステイ”が待っていた。親戚の法事にまぎれこんだような家族ぐるみの手厚いおもてなし、天草の幸と搾りたての焼酎の味わいに仰天し、この蔵が多くの人から愛される理由を肌で実感したのだった。

 「蒸留祭は、いちばんめでたい日やけんですね」と話すのは、4代目杜氏の平下豊さん。人懐っこい丸顔と坊主頭、がっしりした体格だが、毎年の造りで10キロは軽く痩せるという。名刺に「神秘の島で魂の酒造り」とうたってあるだけあって、その仕事ぶりは修行僧のようにストイックかつ静かで、一切の妥協がない。かといって殺気だっているわけでもなく、天草という大自然に身をゆだね、その力をひたすら一心に信じている、そう見える。

 ひと仕事終えた朝の蔵に、小学校に行く前の平下さんの子供たちがやってきた。造りの時期はほぼ蔵にこもりっぱなしの父親に「行ってきます!」と笑顔をみせる。4代目の表情が一瞬父親のそれになり、和やかな空気がながれた。これからは焼酎造りを通して、ふるさとの天草に世界から人を呼び、地元を盛り上げていきたい、貢献したいと語る平下さん。天草の風土と人間味がつちかった天草酒造の焼酎をこれからも楽しみに待つとしよう。

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1:唯一無二の風土

北は有明海、東・東南は八代海(不知火海)、西・西南は東シナ海の灘に抱かれた天草諸島は、大小110個の島々からなる。昔ながらの豊かな地形や土壌、実直な手の仕事が受け継がれている希少な海と山の町だからこそ、生まれる焼酎がある。

2:造りのリズム

 冷房完備の蔵もふえているが、天草酒造の蔵は自然排気。当然、蔵内の温度や湿度は、作業内容に影響を受けやすい。そのため熱を発する蒸留は、麹が活動する麹室に影響しないよう、深夜0時からじっくりと時間をかけて行なうなどの工夫がある。酒造りに焦りは禁物。出麹は朝7時から、米蒸しは9時半頃から、その後、原料の芋洗い、蒸しなどを経て15時頃にワンクールを終え、睡眠をとる。日々の仕事の手順は平下さんの体内時計にセットされているのだろう、時計をみなくても1分の誤差もないという。

3:人と人

 蔵人は地元の人ばかりと思いきや、近日、熊本で焼酎専門バーを開店予定の若者が働いていた。「自分の体を使って体験したことをお客様に伝えたい」と語る彼の愛称は「先生」。なんでも前職は、保育士とか。焼酎が結ぶ濃いつながりである。また蒸留祭には、蔵や甑、櫂棒、麹箱などを手がけた地元の腕利きの大工さんや、約10年前に平下さんに「昔、蔵で仕込んでいた『池の露』を復活させよう」と働きかけた熟練の先輩杜氏の姿も。天草という土壌が育んだ人間と人間の繋がり、そこに生まれる旨い焼酎と笑顔ほど尊いものはない。

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4:道具、蔵、すべてを磨きあげる

 一つの仕事を終えるたび、道具を湯で洗う。焼酎をタンクからカメに移すホースも木の柄杓も麹室も10年選手とは思えないほど真新しい。微生物の働きで発酵し、醪をつくる麹室は、「麹は残さず、酵母は残す」をモットーに床から壁からすべて隅々までふきあげる。その真摯な姿勢は、焼酎の味にあらわれている。また天草の自然の恩恵を受ける身としては、環境への配慮も不可欠。「米糠の排水は、目の前の海に流れないように排水口を変えていますし、蒸留を終えた焼酎は地面の下のパイプを伝って下の蔵のタンクに運ばれるようになっています。緩やかな高低差を生かして移動させるので、酒にもストレスがかかりません」。

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5:真実一路のものづくり

 紅はるか、安納芋、黄金千貫など芋の種類違いで仕込んできた「池の露」シリーズにくわえ、今年の冬には、麹の種類をかえた焼酎づくりに挑戦したいと話してくれた平下さん。蒸留を終えた早朝、自ら用意してきたにぎり飯を食べながら、まっすぐな瞳でこう語った。
 「29歳から造りを始めました。最初の10年間は地道に自分一人でできる限り、ガムシャラに焼酎を造ろうと決めて実行してきた。これからの十年は、人を育てたり、体制を整えたりというところにも力を入れていきたいです」「造りの時期は、一日たりとも気が抜けません。50日目くらいになると、無の境地になります。ZARDの『負けないで』が頭の中にずっとかかっとるですもんね(笑)。明日のことを考えずに1日くらいゆっくり眠りたいと思うこともあるけれど、この10年間、一度も造りに穴をあけたことがないんです。夜、仮眠していて醪が溢れる夢を見て飛び起きることもありますけどね(笑)。毎日、全力を出しきる。ただそれだけです」。

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6:原料の力。水、芋、米

 平下さんが目指すのは、「どっしりとした、天草の風土を活かし、土地に根ざした焼酎」。米は、阿蘇産のコシヒカリ精米率90%。「日本酒好適米を使ったこともあったんですけど酒質が綺麗になりすぎて、自分が作りたい焼酎のイメージとは違ったけんですね」。ちなみに甑で蒸した米は、全体を均等な蒸し上がりにするために途中で上下を入れ替えて再び蒸す。試行錯誤がうみだした細やかな仕事だ。芋は、鹿児島県の志布志の若い農家さんが週1回、はるばる4時間かけて運んでくれる芋を6日分倉庫で保管して、1日に600キロのペースで蒸す。「うちの蔵の心意気を感じてくれたんでしょうね。将来的には、天草産の米と芋を使った焼酎に統一したい。小さな造りの蔵でもブランド価値を高めていけるということを実証したい」。

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7:『池の露シリーズがそろう、薬院六つ角のこば酒店』

 「全国にいろんな酒蔵はあるけれど、自宅に呼んでもてなしてくれる、こんな暖かい蔵は天草酒造だけ。店の前の池の露のたれ幕は、蔵を応援したいという気持ちで作りました!」と語るのは、蒸留祭にも参加していた店主のこばさん。熱い酒屋さんです。

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こば酒店 
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住 所 / 福岡市中央区薬院1-12-18
電 話 / 092-741-1504
営 業 / 10:00〜21:30
    (角打ち17:00〜23:00、
土曜日〜21:30)
休 み / 日曜日
H P / http://kobasaketen.boo.jp/
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●データ
合名会社 天草酒造
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住 所 / 熊本県天草市
新和町小宮地11808
電 話 / 0969-46-2013
H P / http://ikenotsuyu.com
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