〜前原よかとこ美人の里〜 酒は白糸 手造りの味「白糸酒造」をたずねました。
「糸島産山田錦純米酒 田中六五」という端正なラベル、ずっと気になっていました。どんな人たちが、どんな所で、どういう想いで作っているのだろう。酒造りが始まった2014年冬。白糸の滝から命名されたという創業1855年の歴史ある「白糸酒造」を訪れました。
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蔵の周囲は、見渡す限りの田んぼ。この風光明媚な故郷で育った最高峰の酒米「糸島産山田錦」で酒を作り始めたのは、平成元年のことだそうです。地元の米と脊振山系の伏流水、職人が昔ながらのハネ木搾りで、ゆっくりゆっくり搾って造る酒は、機械化に伴う効率重視の今、酒造りの文化を後世に伝える貴重な存在といえるでしょう。
白糸の蔵人は、20代〜30代の若手が中心です。これまで蔵を支えてきた熟練の芥屋杜氏、中村さんとバトンタッチして酒造りを担うのは、8代目蔵元杜氏の田中克典さん。キャップからのぞく金髪、仕事着もどこか洒落ていて、今どきの若者代表といった雰囲気ですが、いざ酒造りになると職人の顔つきに一変します。
克典さんは、7代目の父、信彦さんの母校でもある東京農業大学で醸造学を学んだ後、広島の酒類総合研究所へ入り、さらに全国屈指の銘酒「東一」で知られる佐賀の五町田酒造へ修行に入り、2009年に帰福。自分のイメージする酒を作ってみたい、その一心でひたむきに取り組んだのが「田中六五」でした。当時、日本酒を広めるためには、東京や東北の酒屋で評判にならなければという風潮がありましたが、あえて地元福岡から発信していったところ、全国の酒屋や蔵から注目を浴びる存在になりました。あのクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」でもサービスされているというのですから一流と認められた証ですね。
さて6造り目を迎える2014年、信頼できる蔵人と力を合わせ、造り手としての経験値と自信を深めている克典さんに「田中六五は、僕の尊敬する師匠である『東一』の勝木先生の言葉をヒントに命名しました。“田中”は僕の名字でもありますし、日本でも有数の山田錦の“田んぼの中”に建つ蔵で造った酒という意味。六五は、精米歩合65%のことです。ラベルは僕が書きました。もともと筆文字が好きだったので下手なんですけど(笑)。目標ですか? 福岡を代表する酒として、白ご飯のようにいつもさりげなくそばにあって、どんな料理にも合う、でもないと寂しい、そんな福岡の定番酒にしていけたらいいですね。味わいとしては、口にふくんだ時にゼリーのような丸みを感じる酒を目指しています。上唇につるんと入って、噛むと味が広がって、喉元を過ぎる時にスッと余韻が広がる。そんな受け皿の広い王道の酒を、ハネ木搾りで挑戦していく。それが白糸酒造の使命かなと思っています。
九州の若手杜氏ナンバー1との呼び声も高い克典さん。率直で飾り気のないまっすぐな人柄でこれからどんなお酒を造っていかれるのか、愉しみです。
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蔵の周囲は、見渡す限りの田んぼ。この風光明媚な故郷で育った最高峰の酒米「糸島産山田錦」で酒を作り始めたのは、平成元年のことだそうです。地元の米と脊振山系の伏流水、職人が昔ながらのハネ木搾りで、ゆっくりゆっくり搾って造る酒は、機械化に伴う効率重視の今、酒造りの文化を後世に伝える貴重な存在といえるでしょう。
白糸の蔵人は、20代〜30代の若手が中心です。これまで蔵を支えてきた熟練の芥屋杜氏、中村さんとバトンタッチして酒造りを担うのは、8代目蔵元杜氏の田中克典さん。キャップからのぞく金髪、仕事着もどこか洒落ていて、今どきの若者代表といった雰囲気ですが、いざ酒造りになると職人の顔つきに一変します。
克典さんは、7代目の父、信彦さんの母校でもある東京農業大学で醸造学を学んだ後、広島の酒類総合研究所へ入り、さらに全国屈指の銘酒「東一」で知られる佐賀の五町田酒造へ修行に入り、2009年に帰福。自分のイメージする酒を作ってみたい、その一心でひたむきに取り組んだのが「田中六五」でした。当時、日本酒を広めるためには、東京や東北の酒屋で評判にならなければという風潮がありましたが、あえて地元福岡から発信していったところ、全国の酒屋や蔵から注目を浴びる存在になりました。あのクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」でもサービスされているというのですから一流と認められた証ですね。
さて6造り目を迎える2014年、信頼できる蔵人と力を合わせ、造り手としての経験値と自信を深めている克典さんに「田中六五は、僕の尊敬する師匠である『東一』の勝木先生の言葉をヒントに命名しました。“田中”は僕の名字でもありますし、日本でも有数の山田錦の“田んぼの中”に建つ蔵で造った酒という意味。六五は、精米歩合65%のことです。ラベルは僕が書きました。もともと筆文字が好きだったので下手なんですけど(笑)。目標ですか? 福岡を代表する酒として、白ご飯のようにいつもさりげなくそばにあって、どんな料理にも合う、でもないと寂しい、そんな福岡の定番酒にしていけたらいいですね。味わいとしては、口にふくんだ時にゼリーのような丸みを感じる酒を目指しています。上唇につるんと入って、噛むと味が広がって、喉元を過ぎる時にスッと余韻が広がる。そんな受け皿の広い王道の酒を、ハネ木搾りで挑戦していく。それが白糸酒造の使命かなと思っています。
九州の若手杜氏ナンバー1との呼び声も高い克典さん。率直で飾り気のないまっすぐな人柄でこれからどんなお酒を造っていかれるのか、愉しみです。
酒米
食べておいしい米とは別物。酒造りに適した酒造好適米「山田錦」を精米率65%になるまで磨く。精米率は全体の重量で量る。
洗米・浸漬
米の表面の糠をとり、ストップウォッチで水分値を計測しながら米を洗い、水を吸わせる。
蒸米
「甑(こしき)」と呼ばれる大きな釜で米を蒸す。炊くのではなく蒸すのは、米の水分含有量が低く、麹菌の繁殖に最も適しているから。白米のでんぷんを麹の糖化酵素が、分解しやすいかたちに変えることである。
麹づくり
蒸した米に麹菌をふりかけ、約30度に保たれた室に2昼夜おき、菌をまんべんなく繁殖させる。
酒母づくり
「まずは、アルコール発酵を担う酵母を大量に作るためのエンジンともいえる「もと」と呼ばれる酒母を作る。蒸した米に麹と水を加え、酵母をくわえる。
発酵
酒母を大きなタンクに移し、三段仕込みと呼ばれる方法で米、麹、水を合わせる。麹菌が米のでんぷんを糖化し、酵母菌がその糖分をアルコールにかえる。この2つの作業が同時に行なわれることを並行複発酵(へいこうふくはっこう)という。ワインなどは単発酵、ビールは単行複醗酵。このような複雑な発酵を経る日本酒は、世界でも類を見ない深くて複雑な味わいを醸す。白糸酒造では、ここでアルコール度数を調整する加水を行なう。
分析
蒸した米に麹菌をふりかけ、約30度に保たれた室に2昼夜おき、菌をまんべんなく繁殖させる。
搾り
日本唯一となったハネ木搾りで、できあがった醪(もろみ)を搾り、酒粕と酒に分ける。一個40キロの石を二日間にわたってかけ、てこの原理で搾る昔ながらの上糟法。歩留まりは悪いが手間暇をかけた分、雑味のないやさしい酒に仕上がる。
ろ過
「まずは、アルコール発酵を担う酵母を大量に作るためのエンジンともいえる「もと」と呼ばれる酒母を作る。蒸した米に麹と水を加え、酵母をくわえる。
火入れ・貯蔵
酒質を安定させるために菌を加熱殺菌し、貯蔵へ。
出荷
初春の「新酒」をはじめ、夏の「生酒」、秋の「ひやおろし」など四季折々の名称で出荷。
掃除
おいしい酒造りに欠かせない工程。「作業を終えたあとの掃除が次につながるんです」と克典さん。
白糸酒造
白糸酒造
Add/福岡県糸島市本1986
Tel/092-322-2901
HP/http://www.shiraito.com/
Add/福岡県糸島市本1986
Tel/092-322-2901
HP/http://www.shiraito.com/
蔵開き 2015年 ハネ木まつりのご案内
2015年4月11日(土)・12日(日)11時〜16時
酒蔵見学、蔵開き限定酒の角打ち、糸島物産店、聞き酒大会、ミニライブなどイベント盛りだくさん。JR筑肥線 筑前前原駅より、10時台から14時台までシャトルバス有。詳細はネットをご参照ください。
http://www.shiraito.com/info/hanegi2015a/hanegi2015a
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