
| 私 の 休 日 |Top Interview
時を越え、国を越えて、
人々や景色にふれる幸せ。
ご自宅にて、最も好きだと語るモネの絵を前に、微笑まれる井田先生。
精神科医として、「小倉蒲生病院」(北九州市小倉南区)の院長として、
多忙な日々の合間、心を豊かに満たす時間についてお話を伺いました。
人々や景色にふれる幸せ。
ご自宅にて、最も好きだと語るモネの絵を前に、微笑まれる井田先生。
精神科医として、「小倉蒲生病院」(北九州市小倉南区)の院長として、
多忙な日々の合間、心を豊かに満たす時間についてお話を伺いました。
色褪せない記憶
小学生のとき、4つ上の姉の影響で、画家の先生に絵を習いに行っていたのです。展覧会へ頻繁に出品されていた先生で、2階がアトリエ、1階が喫茶店でした。いつも外国の風景や裸婦を描いた大きな油絵が壁いっぱいに並んでいて、タンゴのような音楽が流れ、珈琲の香りが立ち込めていました。「大人の世界」を感じながら、僕は、迎えに来て、先生と話している母親のそばでドーナツなんかを食べている…。子ども時代の幸せな記憶であり、絵に魅了されたきっかけでもあります。
印象派との出会い
中学・高校でも美術が好きでした。特に、「海外」に憧れた青春時代でしたね。医師となり、国際学会へ参加して初めて訪れたのがヨーロッパです。ルーブル美術館では、教科書で見た作品が一堂に並ぶのに圧倒されました。しかし、個人的には、その近くの美術館で観たドガやルノワールの絵に惹き付けられましたね。「印象派」の絵が好きで、昭和60年から61年にかけて、アメリカ留学時代にワシントンD・C・のナショナルギャラリーで出会ったのが、今も自宅に飾っているモネの絵です。
過去と今を繋ぐ窓
「印象派」の絵は、外へ出て、見た瞬間を捉え、感じたままカンヴァスへ絵の具で描くのが特徴です。宗教画のように我々からは遠いモチーフでもなく、アトリエにこもって下絵から描かれたものでもない。いわばカンヴァスが窓となって、当時の風景や人々の生活がみえてくるのです。芸術家の感性や美意識に共感しながら、その世界にふっと惹き込まれる瞬間、とても幸福な気持ちになります。あとから本や資料を読んで、どんな状況や思いで描かれたのかを想像しながら鑑賞するのも面白いですね。
真っ黒に焼けた青春
スポーツでいえば、ゴルフやスキーが好きです。大学時代には、長野へスキー合宿に行って、西医体へ出場して、墨汁のように真っ黒に日焼けして学校へ帰ってきていました。散髪屋へ行くと、ご主人が僕の髪を切りながら「旦那、毎日大変ですね」というんです。どうも土木作業員と間違われていたんですね。医師になってからも、時間ができたら友人や家族とスキーを楽しんできました。
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ゆったりと、微笑みながらお話いただいた井田先生。休暇の時には、ご家族で過ごす時間も楽しみなのだそう。「子供たちが小さい頃から、国内外あちこちへ行きましたが、成長して、最近はみんな都合があるので、夏休みに数日、時間を合わせるのがせいぜいです。いつか、ヨーロッパの素晴らしい美術品を一緒に観に行けたらと思っています」。ちなみに、ご自宅にはモネと別に、80歳を過ぎてなお活躍する画家・鈴木延雄の油絵も飾ってあるのだとか。「とても気に入って、30年来掛けています。絵を介して、実際に旅をして、自然、風景、人間のやさしさ…様々な美しい世界に触れることが、心の栄養ですね」という言葉も素敵な先生でした。

『散歩、日傘をさす女』と作品集。「この絵は、モネが最初の妻と子どもを描いたもので、当時はパトロンもいました。穏やかな田舎で暮らした、若く幸せな時代の一枚です」。

有名なメトロポリタン美術館にて。「NYの空は、濃く鮮やかなブルーがきれいでした」。

ご家族とハワイでの一枚。「一緒に、映画鑑賞やスポーツ観戦を愉しむのも幸せな時間です」。
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