なかの内科・消化器科 病院訪問レポート
肝炎の専門医として、
臨床の現場で地域のために。
臨床の現場で地域のために。
「地域の方々が、いつまでも元気で、安心して暮らしていただけるように、専門医として日々勉強しながら信頼に応えていきたいと思います」。
JR「羽犬塚」駅より徒歩5分、建築の専門誌でも取り上げられそうな造形の美しい外観が目印の「なかの内科・消化器科」。平成5年の開業以来、地域医療の充実に取り組み、患者さん、ご家族、連携医療機関から厚い信頼を集める同院について、院長の中野先生にお話を伺いました。
治る病気は治したい
経歴からお話すると、私は久留米大学を卒業後、久留米大学医学部第二内科で肝炎の治療・感染症の疫学の研究を行ってきました。この場所で開業したのも、地域にC型肝炎の患者さんが多かったためです。現在では飲み薬で治療が可能となりましたが、当時はインターフェロン療法が中心で、発熱や血小板の減少などの副作用があったため、積極的に行える開業医は多くありませんでした。そこで、大学での臨床経験を活かし、開業後も160症例以上の治療を行ってきたのです(下記も参照)。最近は、肝臓はB型肝炎の患者さんの治療が多いですね。
心と心で向き合って
診療においては、けして敷居が高くならないように、何でも相談していただけるようにと思っています。他の薬のことを相談されることもありますよ。「この薬は効かんかった」でもなんでも言っていただいた方がいいんです。病状を把握できますから。年々、気付けば患者さん一人あたりの診療時間も長くなっていますね。他の患者さんが待たれているから、と時間で区切るのではなく、丁寧にお話を聞くようにしています。
ネットワークを作る
また、開業医には「振り分け」の役割が大切です。大病院をはじめ、どこにどんな先生がいるという情報、専門だけでなく人柄もわかれば尚良いけれど、そんなネットワークを持っていると、適切な医療機関へ患者さんを紹介できます。長くひきずって悪化させたり、重大な病気を見逃したり、適切な先生に診てもらわなかったりということがあってはいけません。患者さんの中には「整形の薬でも何でも、ここでもらいたい」「大きな病院へ行くのが面倒」という方もいらっしゃいますが、説明して、ご紹介しています。
寄り添う医療を追求
職員に望むのは、私と同じ姿勢でいて欲しい、という1点だけです。一人ひとりの対応が当院の対応となりますから。ものを伺う時に、座って患者さんの目線に合わせる姿なんかをみると嬉しいですね。職員に会いに来ているような患者さんもいらっしゃるんですよ。おかげさまで開業23年を迎え、近年は、小さい頃に予防接種に来ていた子どもが甲子園に出て、それを録画して応援するといった楽しみもできました。今後も、臨床の現場で地域のお役に立てていけたらと思います。
バリアフリーの院内。車いす用のトイレも備え、絵画が飾られる。
温かく、居心地のいい待合室。「〇〇さん~」と呼ぶ声も柔らかい。
経鼻内視鏡によるがん検診ほか、各種検診・人間ドックも好評。
専管理栄養士による栄養指導や生活習慣病、禁煙治療にも取り組む。
~C型肝炎に対する治療の歩みと取り組み~
現在は完治可能な「C型肝炎」ですが、その治療の歴史には、情熱と信念をもって取り組まれた多くの先生方、また患者さんの歩みがありました。その想いについても、中野先生のお話からご紹介します。
「私が医者になった頃には、『C型肝炎である』ということすら分かっていませんでした。それと分かり、インターフェロン療法の開発に関わり、長く携わってきた自分からみれば、なぜもっと早く飲み薬ができなかったかと思います。インターフェロン療法には副作用がありましたから。しかし、放置すればかなりの率で肝臓がんができますし、治った場合の恩恵は大きいんですね。
今も覚えているのは大学にいた頃に治療した患者さんです。20代の女性で、肝硬変でした。C型肝炎では非常に稀です。小さな子どもさんが2人いて、3人目を妊娠されていたけれど、静脈瘤がひどく出産はできないだろうといわれていました。脾臓が非常に大きく血小板が少ないので、血管造影で脾臓をつめ、血小板が増えたら治療しようと提案してつめたら、副作用で腹水がたまり、発熱が起きたんです。落ち着くまで数週間かかり、本人もつらいだろうと思って「インターフェロン療法を始めるとまた熱も出るが、しますか」と聞いたら「する」と言ってくれて。結果治って、今もうちに来ていただいています。また、開業当初に治療した70代の女性も、相当きつかったようですが、無事に治りました。今もお元気で、毎年、年賀状を下さいます。
ですから、患者さんの中にC型肝炎の方がいれば、治療を説得してきました。自覚症状もない方が、副作用を味わってまで治療へ踏み出すには相当な説得が必要ですし、頭で考え、決断いただく必要があります。5年間、説得した方もありましたね。これは、大学病院にいると味わえない『臨床の現場』ならではのことでしょう。しかし、そのために色々と学んだことも多くあります。
私は今後も、肝炎を抱える患者さんのために、力を尽くしていきたいと考えています。若い方には、やはり専門を持つことを薦めたいですね。自分の研究範囲を一つもっておくと、色々なことに通じていきます。ぜひ、一緒に頑張って行きましょう」。
「私が医者になった頃には、『C型肝炎である』ということすら分かっていませんでした。それと分かり、インターフェロン療法の開発に関わり、長く携わってきた自分からみれば、なぜもっと早く飲み薬ができなかったかと思います。インターフェロン療法には副作用がありましたから。しかし、放置すればかなりの率で肝臓がんができますし、治った場合の恩恵は大きいんですね。
今も覚えているのは大学にいた頃に治療した患者さんです。20代の女性で、肝硬変でした。C型肝炎では非常に稀です。小さな子どもさんが2人いて、3人目を妊娠されていたけれど、静脈瘤がひどく出産はできないだろうといわれていました。脾臓が非常に大きく血小板が少ないので、血管造影で脾臓をつめ、血小板が増えたら治療しようと提案してつめたら、副作用で腹水がたまり、発熱が起きたんです。落ち着くまで数週間かかり、本人もつらいだろうと思って「インターフェロン療法を始めるとまた熱も出るが、しますか」と聞いたら「する」と言ってくれて。結果治って、今もうちに来ていただいています。また、開業当初に治療した70代の女性も、相当きつかったようですが、無事に治りました。今もお元気で、毎年、年賀状を下さいます。
ですから、患者さんの中にC型肝炎の方がいれば、治療を説得してきました。自覚症状もない方が、副作用を味わってまで治療へ踏み出すには相当な説得が必要ですし、頭で考え、決断いただく必要があります。5年間、説得した方もありましたね。これは、大学病院にいると味わえない『臨床の現場』ならではのことでしょう。しかし、そのために色々と学んだことも多くあります。
私は今後も、肝炎を抱える患者さんのために、力を尽くしていきたいと考えています。若い方には、やはり専門を持つことを薦めたいですね。自分の研究範囲を一つもっておくと、色々なことに通じていきます。ぜひ、一緒に頑張って行きましょう」。
◆取材協力 なかの内科・消化器科
住所/筑後市山ノ井975
Tel/0942-53-5668
院長/中野 均
診療科目/内科・消化器科・小児科
病床数/58床(一般23床・回復期35床)
診療時間/ (午前)9:00~13:00 (午後)14:30~18:00
※受付は8:30より ※土曜午後は休診
休診日/日曜日・祝日
医師・スタッフ/医師3名(うち非常勤2名)・看護師・准看護士・管理栄養士・受付事務
往診/随時往診可・訪問治療
連携医療機関/筑後市立病院・公立八女総合病院・聖マリア病院
駐車場/32台
Tel/0942-53-5668
院長/中野 均
診療科目/内科・消化器科・小児科
病床数/58床(一般23床・回復期35床)
診療時間/ (午前)9:00~13:00 (午後)14:30~18:00
※受付は8:30より ※土曜午後は休診
休診日/日曜日・祝日
医師・スタッフ/医師3名(うち非常勤2名)・看護師・准看護士・管理栄養士・受付事務
往診/随時往診可・訪問治療
連携医療機関/筑後市立病院・公立八女総合病院・聖マリア病院
駐車場/32台
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